|
最新のコメント
リンク
おすすめキーワード(PR)
ファン
|
「ウィーン・フィル 来日50年の歴史」
おはなし:クレメンス・ヘルスベルク 室内楽:ウィーン・フィル・メンバー フォルクハルト・シュトイデ、ダニエル・フロシャウアー、クレメンス・ヘルスベルク(Vn) ヴォルフ=ディーター・ラート、ヘルムート・ヴァイス(Va) ヴォルフガング・ヘルテル(Vc) ギュンター・フォーグルマイヤー(Fl)、ペーター・シュミードル(Cl) 鳥羽泰子(Pf) 通訳:松田暁子 ヒンデミット:ヴァイオリン・ソナタ変ホ長調op.11-1 モーツァルト:弦楽五重奏曲ト短調K516 第1楽章 モーツァルト:フルート四重奏曲ハ長調K Anh.171(285b) 第1楽章 ショスタコーヴィチ:二つのヴァイオリンとピアノのための五つの作品 シューマン:ピアノ五重奏曲変ホ長調op.44 第1楽章 モーツァルト:クラリネット五重奏曲イ長調K581 第1楽章 そもそもの演題である「来日50年の歴史」については前半のみ。 後半は、"メモリアル・イヤー"を迎えた3人の作曲家に関する話と、その楽曲演奏に重きを置く構成であった。 前半の「50年の歴史」。 1956年の第1回来日公演以前の、ウィーンフィルとしての演奏旅行に関する歴史から振り返る形で始まった講演であったが、なんと言っても白眉は、その第1回来日公演にも帯同したヴィオラ奏者ヘルムート・ヴァイス氏によるお話。 数年前に引退した氏であるが、今回はオケ公演にも参加するなど、演奏者としての活動を続けている。 そんな氏が、50年前の写真をスクリーンに映しつつ語ったお話は、私が知らない50年前の日本の姿をオーストリア人であるヴァイス氏から教えてもらう、といった趣でもあり、実になんとも不思議な気持ちであった。 中でも印象深いのは「広島」のこと。 50年前、指揮者ヒンデミットを含むオーケストラメンバーたちは、復興途中の広島にも出向き、平和祈念公園の慰霊碑に献花を行った。その写真が映し出される。 次に、ヴァイス氏を含む3人のメンバーが、同じ慰霊碑の前で撮った記念写真が映し出され、「これは20年前の来日公演時の写真で、'56年に一緒に献花したメンバーと共に撮ったもの」、との解説が。 そしてその後、ヴァイス氏は次のように語る。 「私は、今回の広島公演の際にも、慰霊碑を訪れました。しかし、写真を撮ってくれる人はいませんでした。そして、次にウィーンフィルが広島公演を行う時、50年前のことを知る人は誰もいなくなっていることでしょう...」。 他にも、「親愛なる日本の皆さんに、『またお会いしましょう』とはもう言えません。『さようなら』と申し上げるしかありません」との発言もあり、氏と日本との深い関わりを知る一方、氏に「老い」が着実に訪れているのだという現実を突き付けられた思いで、思わず目頭が熱くなってしまった。 その後、氏も加わって演奏されたモーツァルト弦楽五重奏曲ト短調の、なんと哀切に満ちた音楽であったことか。 実に、実に胸に迫る、忘れられない演奏となった。 この催事は、ヘルスベルク団長による室内楽演奏が聴けるということでも、非常に貴重な機会となっている。 音楽学者としてもピカイチ、しゃべりだって抜群に上手い。 が、こういう人は、得てして演奏が「?」だったりすることも多いわけだ。が、団長さんのヴァイオリンは、実に味のあるもの。 バリバリ弾くタイプではないし、音がビュンビュン飛んでくる奏法でもない。敢えて申せば「地味」なヴァイオリン。 しかしね、その音楽はなんとも味わい深いもの。 ショスタコーヴィチでは第1パートを、シューマンでは1stヴァイオリンを担当されたけど、誠実な、でもちょっと洒落た音楽作りに感銘を受けた。 彼もまた、立派なフィルハーモニカーなんだよね。でも、同時に実に優れた学者、研究家でもある。 こういう人が団長をやってるんだから、ウィーンフィルってのは、やっぱ「唯一無二」のオケだよなと、改めて感服。 by wph2006 | 2006-11-10 09:04
|